内視鏡検査説明用紙

内視鏡検査を安全に行うために

高校生以上では内視鏡検査は成人と同じように検査する部分に麻酔(局所麻酔)をして検査が可能です。しかし、小さなお子さんや年齢が高くても恐怖心が強いお子さんでは、局所麻酔ではかえって検査中に暴れて喉や腸管を傷つけるなどの合併症を起こします。このため、全身麻酔が必要となります。全身麻酔は手術と同じように手術室で麻酔科の医師が担当して行います。検査前日に入院の上、担当の麻酔科医師より麻酔の説明があります。膀胱鏡などの限られた検査ではX線写真を撮る必要があり、X線装置を備えた内視鏡室で検査を行います。この際、麻酔は小児外科の医師が担当します。

 

検査前の食事

検査申し込み時に、医師から指示があるので守ってください。

上部消化管内視鏡(食道、胃、十二指腸、ERCP:逆行性膵管胆道造影)

検査当日朝は、固形物は摂取できません。水分のみ摂取できますが、水分とはポカリスエット、お茶などの透明なものに限り、ミルクなど不透明なものは飲んではいけません。何時まで飲めるかは、局所麻酔、全身麻酔によって異なりますので医師の指示に従ってください。

 

下部消化管内視鏡(大腸)

検査前日は、海草などの消化の悪いものは避けてください。大腸をきれいにするため下剤を飲む必要があります(局所麻酔で検査するときには検査当日の朝、全身麻酔で検査するときには検査前日)。飲む量は体重によって異なります(体重が20Kgで、600800ml、体重が50kgで15002000mlです)。飲みにくい下剤なので量が飲めないお子さんは鼻から胃に管を入れて胃の中に注入します。

 

膀胱鏡(膀胱・尿管)

基本的に本館2階内視鏡室で検査を行い、全身麻酔は小児外科の医師が担当します。一部の検査では手術室で行い、全身麻酔は麻酔科の医師が担当します。この場合、入院は検査前日になります。

検査当日朝は、固形物は摂取できません。水分のみ摂取できますが、水分とはポカリスエット、お茶などの透明なものに限り、ミルクなど不透明なものは飲んではいけません。何時まで飲めるかは、局所麻酔、全身麻酔によって異なりますので医師の指示に従ってください。

 


内視鏡検査に伴う合併症

局所麻酔に伴う合併症

 

上部消化管内視鏡(食道・胃・十二指腸)

1.     内視鏡により組織を擦ることで、検査後の口の中からの出血、違和感、のどの腫れなどを訴えることがあります。

2.     口から食道に挿入する際、喉の奥にある梨状窩と言われる窪みがあり、この部分を損傷する可能性があります。この場合、裂けた部分を修復する緊急手術や穴の開いた部分から漏れた唾液を体の外に出すための処置が必要となります。また、治療に伴う入院期間も月単位の長期間を要します。

3.     胃内を内視鏡が通る際に胃壁を損傷する可能性があります。程度により異なりますが、胃壁に穴が開いた場合、緊急手術が必要です。

4.     組織検査(内視鏡で小さい組織を取る)をした後、多少の出血を認めますが、通常、吐血や黒い便などは出ません。もし、そのような症状が出たときにはご連絡ください。

5.     ERCPでは、膵管、胆道へ造影剤を入れて検査するため、検査後に膵炎や胆管炎を合併することがあります。膵炎を起こした場合、軽症では短期間の絶食、点滴ですみますが、重症の場合、長期間の絶食が必要となる場合があります。

 

下部消化管内視鏡(大腸)

1.     内視鏡により組織を擦ることで検査後の肛門からの出血、違和感、腫れなどを訴えることがあります。

2.     挿入の際、大腸は入りくんでいるため、大腸に穴が開く可能性があります。この場合、緊急手術の必要があります。

3.     組織を取って調べた後、便に血が混ざることがありますが、通常、2〜3日で血便は出なくなります。

 

膀胱鏡(膀胱・尿管)

1.     内視鏡により組織を擦ることで検査後、排尿時痛、出血、血尿、違和感、尿が出にくいなどの症状を訴えることがありますが、2〜3日で症状は良くなります。

2.     膀胱内に内視鏡を入れるので、稀ですが検査後に尿路感染症を伴うことがあります。この場合、抗生剤による治療が必要となります。